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上岡田医院の腎臓病ガイド | ||
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慢性腎不全(Chronic renal failure)とは?
疫学
成因と病態 慢性腎不全の成因と病態生理は、原疾患やそれまでの治療によっても修飾されるため一概にはいえませんが、腎不全への共通の進展機序としては、糸球体の肥大と硬化および尿細管・間質障害が重要視されています。多くの腎疾患に共通した予後不良を示唆する兆候としては、@持続性の高度な蛋白尿、A高血圧、B腎生検時すでに腎機能低下を呈していること、C腎萎縮を呈すること等が挙げられます。
臨床症状 末期腎不全へと進行するにしたがい、臨床症状は多彩となってきます。原疾患や個人差のため多少の違いはありますが、腎不全の進行度と臨床的な影響を理解するうえで、Kidney
Disease Outcome Quality Initiative(K/DOQI)の慢性腎臓病(chronic
kidney disease: CKD)病期分類にしたがい、5期に分けて考えられます。(表1)
ステージ 1, 2は代償機能が働いており、ほとんど無症状です。ステージ 3に進行すると、残存腎機能の代償が不完全となり、尿量の増加や血清尿素窒素(BUN)の上昇を認め、貧血も軽度出現します。ステージ 3〜4にかけては、体液の恒常性が保たれなくなるため、代謝性アシドーシス、低カルシウム血症や高リン血症等の電解質異常、高血圧・貧血の増悪等、多彩な臨床症状が出現し、増悪します。ステージ 5では、体液異常の進行とともに、代謝性アシドーシスや高カリウム血症が顕著となり、肺水腫等の高度な尿毒症症状が出現します。生命維持のため透析療法が必要となります。 検査所見 長期にわたる緩徐なBUN,
s-Crの上昇や、クレアチニンクリアランス値(Ccr)の低下等の腎機能障害を認め、X線および超音波等の画像検査で腎の萎縮や硬化が認められれば、慢性腎不全と診断できます。
@血液検査: BUN・s-Crの上昇、血清尿酸の上昇、高カリウム血症、低カルシウム血症、高リン血症、代謝性アシドーシス、貧血 A腎機能検査: Ccrの低下 B腹部X線・腹部超音波・腹部CT検査: 腎の萎縮、硬化 治療 治療の原則は、@原疾患の治療、A慢性腎不全の進展・増悪因子の治療、B腎機能障害の進行に随伴する体液異常の是正、C合併症の治療です。一般療法(生活指導、食事療法(表2))と薬物療法を組み合わせて行うことにより、腎不全の進行を抑制することが重要です。K/DOQIのCKD病期分類に従い、治療方針が検討されます。
ステージ 1,
2では、原疾患の治療と進行性腎障害に共通の進展因子の抑制療法が主体となり、心血管病変の評価とその治療が開始されます。ステージ
3になるとさらに腎機能障害が進んでいるため、腎機能の増悪因子に注意しながら、進展因子の抑制療法と低蛋白食や塩分制限等の食事療法を強化することになります。腎不全の進行に伴う合併症の評価と治療が必要になってきます。ステージ
4では、さらに食事制限や薬物療法(経口吸着炭素製剤、エリスロポエチン製剤、高カリウム血症改善薬、高尿酸血症治療薬、高リン血症改善薬、アシドーシス改善薬、ビタミンD製剤等)による代謝異常の是正が強化されます。透析または腎移植の適切な時期を検討することになります。ステージ
5では、透析導入基準(表3)に沿って適切な時期に、透析導入または腎移植をすることになります。
表1. 慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)のステージ分類
表2. 保存期慢性腎不全の食事療法(日本腎臓学会)
表3. 慢性腎不全透析療法導入基準
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